息をのむ美しさ。トゥールビヨンの魅力に迫ります。

息をのむ美しさ。トゥールビヨンの魅力に迫ります。

その複雑な機構から、視線を一手に浴びる魅力を持つ「トゥールビヨン」。今回はトゥールビヨンの簡単な説明と高級時計メーカー「ブレゲ」の生産するトゥールビヨン、フライング式トゥールビヨンについてご紹介します。
書き手:ジョゼ

トゥールビヨンとは

トゥールビヨンとは、機械式時計の中の複雑な機構のことです。
その構造が複雑すぎるが故にトゥールビヨンを搭載した時計はそれだけで高級車が一台買えてしまうほどの価値を持つようになります。

何がどう複雑なのか、そしてなぜそんなにも高価なのか。

まずは時計の分類から。

そもそも、時計には機械式時計とクォーツ時計、電波時計の3種類に大別することができます。
電波時計は、標準電波の送信局から送信される原子時計の正確な時刻を受信し表示する時計。
クォーツ時計は、水晶が交流電圧を受けると発生する規則的な振動を利用して時刻を表示する時計。
そして機械式時計は、ゼンマイの往復運動を利用して時刻を表示する時計。
表示時刻の正確さで言えば電波時計に勝るものはなく、後の2種類はどんどん誤差が生まれていきます。

トゥールビヨンは最後の機械式時計に組み込まれる機構で、約200年前に極限まで正確に時を測るために開発された技術です。

「全体を回してしまえばいい」という発想。

約200年も前、時計の主流は今のような腕時計ではなく懐中時計でした。
時計の時刻を狂わせる懐中時計の特徴は「長い時間、同じ方向に重力を受ける」ということ。一定方向の力が長時間かかることにより、心臓部分のバネが変形し、規則的な振幅を繰り返せなくなるのです。

トゥールビヨンはそれを解決するために生まれたという発想です。簡単に言えば、「機構ごと一回転させてしまばいい」ということ。規則的に機構全体が必ず一回転するのであれば、バネが受ける重力の方向を常に変えることができ消耗を遅くできる、という発想なのです。ちなみにこの発想は、潤滑油が一箇所に溜まってしまうという問題も解消してくれるのです。

トゥールビヨン、実現のための障壁。

しかし、それを実現するにはたくさんの壁があります。
回転させる機構を増やすということは、その分複雑な仕組みになるということです。
組み立てるには、大前提としてとても細かな「技術」が必要です。複雑な分部品が細かくなり、調整も困難になるためです。
そして、その「部品」も一つ一つの構造に最適な材料・形状をしていなければいけません。部品がすこしでも弱いとたわみが生まれ通常の機械式時計よりも誤差を生み出してしまいますし、重すぎると部品同士の摩擦が大きくなり消耗が激しくなります。

ブレゲ

ブレゲは1775年にアブラアン‐ルイ・ブレゲが設立したスイスの超高級時計メーカー。
王室とのゆかりがある時計メーカーだけに高度な技術や超高級の材料を扱っています。

B5 37
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商品ページへwww.gressive.jp

世界でも最高ランクの一本。
エレガントな装飾でありながらもシンプルなデザインはまさにクラフトマンシップのいたすところ。
中央下のトゥールビヨンはいつまでも見ていられる美しさです。

フライング式トゥールビヨン

フライング式トゥールビヨンとは、簡単にいうと複雑で美しいトゥールビヨンの機構を見やすいように工夫した仕組みのトゥールビヨンのことです。
通常は文字盤側のブリッジ(軸を支える板)が邪魔をして機構が見づらくなってしまうため、コニカルギア(≒円錐状の歯車)を組み合わせて文字盤側のブリッジを無くし、機構を見やすくしているのです。
通常のトゥールビヨンよりももっと難しい技術が必要であります。

こんなものも

トゥールビヨンには上述のようなフライング式のものなどたくさんの種類が存在します。
中でも特別なのが、最近開発された技術で"Gyrotourbillon/ジャイロトゥールビヨン"というものがあります。
これは写真の通り、機構が立体的に回転することができる技術です。これにより、さらに機構にかかる重力を分散することができます。
しかし、その実効的な特徴よりも、その動きの美しさに目を奪われます。
百聞は一見にしかず。動画でご覧ください。

愛情

実用的な着想から生まれたトゥールビヨン。それがただの部品減耗を解決するだけのものであれば、「科学」にすぎないし、200年もの間世界中の人々から評価を得るようなものではないでしょう。そこには見るものを離さない美しさがあります。

トゥールビヨンの実現に、職人の技術が必要なことは言うまでもありません。
そして、その技術は職人の時計への愛が強くなければ体得できないでしょう。

トゥールビヨンから感じられる美しさは、職人の愛情と彼らへの敬愛からくるものなのではないでしょうか。


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